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2005/11/22
乱歩地獄
映画「乱歩地獄」鑑賞

乱歩地獄

さーて、観てきましたよん。
乱歩地獄。
期待の一本でしたが、さてどうでしたでしょうか。

本作は「火星の運河」「鏡地獄」「芋虫」「蟲」という4つの短編集からなるオムニバス形式。
元々、ストーリが全く繋がっていない4作品にちょっと関連性を持たせております。

まずは、「火星の運河」。

いきなりサイレントですか。
なかなか怪しい感じです。
地獄の一丁目としては上出来です。
浅野忠信ちゃんも全裸で怪演。

お次は、「鏡地獄」。

成宮寛貴ちゃんが主演しております。
うーん、ずいぶんアレンジされちゃっていますね。
もう少し江戸川乱歩自身の鏡フェチ、鏡粘着質がストーリに打ち出されていると良かったんですけど。

小説を読んだときの衝撃、何とも言えない後味の悪さは影を潜めています。
及第点ってところでしょうか。

本作品で「妖艶さ」を感じるのはやはり「鏡への執着と異様なまでの好奇心」を持つ主人公の行動なんですよね。

その次は「芋虫」。

戦時中「発禁処分」になった曰く付きの作品です。
Fe+が最も衝撃を受けた作品でもあります。

この作品に関しては不満がありましたね。

まず時代背景が曖昧にされてしまっていて、おどろおどろさが影を潜めてしまった点。

「戦争で手足を失い、声も耳も使えない状態」になってしまった夫を世話する妻。
唯一、残された感覚器官は触覚と視覚のみ。

そんな夫を献身的に看護する妻。
やがて心に芽生える暗く淀んだ感情。

その感情の果てに待っているのは、唯一残された視覚までも妻に奪われ、闇に生きる無惨な夫。
でも夫は、残りの力を全て使い妻に言うのです「ユルス・・・」と。

この怒濤の波状攻撃が、映画にはありませんでした。
凝縮された「人間の闇」がどうも発散気味だったんですよね。

映像的に凝るよりも、ストーリに凝って欲しいかったなぁ。

「火星の運河」がほぼサイレントだったので、逆に、映像が一切ない「ラジオドラマ風」という大胆な演出でも良かったのではと感じました。
その方がイマジネーションが働いて良かったかも。

江戸川乱歩は本当に「人の心の暗部」を素直に直視し、捉え、表現しようとしていますね。
さすが巨匠。

そして最後は「蟲」。

この作品は、Fe+は読んだことはないのですが、基本的に「虫に粘着」した話です。

強迫観念から来る潔癖症で、全てに「蟲」が見える主人公。

淡い恋心を抱く女性に対して、「歪みまくった愛情」を注ぎ、殺してしまいます。
そしてその遺体を愛するという救いがないストーリです。

最後は「あらららら」って感じの結末を迎えるのですが。
この辺りの「救いのなさ感」は良い感じなのではないでしょうか。

それにしても浅野忠信ちゃんは本当に演技の幅が広い良い役者さんです。
今回の「乱歩地獄」で改めて見直しちゃいましたよ。

とまぁ、こんな感じの全4作だったのですが、感想としては。

乱歩プチ地獄

って感じでしょうか。
もうちょっと、原作が持つ「後味の悪さ感」があっても良かったかな。
期待していた分、評価が若干辛めなのは否めないかも。

あと、万人には受け入れがたい映画なので、あまり精神的に屈強でない方にはオススメ出来ないかも知れません。

posted at 2005/11/22 0:55:16
lastupdate at 2005/12/12 1:13:37
修正
 
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