2024 / 11 «« ■ »» |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
meaning of mark :: nothing , comment
Pageview
Online Status
Profile
hHandleName = Fe+;
某メーカ勤務の怪しい会社員。
40代に突入しても不惑の域に達しない。
某メーカ勤務の怪しい会社員。
40代に突入しても不惑の域に達しない。
Recent Diary
Recent Comments
RSS & Atom Feed
«« カテゴリ内前記事(クオリア) |
転載 no Blog |
カテゴリ内次記事(no data) »»
2005/05/22
二回寝たら退場
※これはBarbarossaサーバを立ち上げ当時に書いてお蔵入りになった文章です。
つい先日、免許の更新に行って思わず懐かしくなってしまったので、思い切って公開することにしました。
ちなみに1999年、今からちょうど6年前くらいに書いた文章です。
「二回寝ると退場である。」
と、東京都運転免許センター更新時講習の講師である藤田まこと氏(仮名)は明言するのであった。
さらに藤田氏は続ける。
「寝るなといっても、この中から一人か二人は必ず寝る。私の過去の経験からしても絶対そうなるのである。
なるといったらなるのである。」
と言い切る。
さらに、藤田氏は講習中でも常に現代社会への不満を披瀝する。
まず、現代社会人のモラル低下を嘆き、次に国会審議の話へ移行し、携帯電話の功罪、さらにシンガポール出身である過去の受講者へと話題が進む。
ああ、藤田氏。
非常に興味深い人物である。
講習内容も、藤田氏の個性が全面に押し出された特色ある講義であり、過激を極める内容であった。
まず私を含む受講者全員に対し
「現在、隣室では卒業検定を終了した者達が本試験を受験中である。」
と口火を切り、
「ここいいる全員は絶対に合格しないであろう。
しないといったらしないのである。」
と一刀両断。
「両側通行の車線の中央が黄色の場合、これはどういう意味なのか回答せよ。はい、そこの一番後ろのあなた。
そうそう、あなた。」
と突然、講義開始。
だが、ここはなんとしても、藤田氏に一矢報いる為にも皆の衆よ、我々の優秀さをアピールしようではないか。
我々だって、過去は藤田氏曰く「今なら絶対合格しない本試験」とやらに合格し、晴れて運転免許所持者となった集団であり、豊富な運転経験を有し、
ちょっとの違反
で国庫に反則金を納め、今日この鮫洲運転免許センターに集った者達である。
背後なので見えないが、「そこの、あなた」頑張ってくれ。
恐らくその場にいたすべての人の期待を一身に背負った「そこの、あなた」はきっと、やり遂げてくれるであろう。きっと我々の期待に応えてくれるはずである。
はずであった。
はずだったのにぃ。
「そこの、あなた」は藤田氏の予言を具現化してしまうのである。
ぼそっと、「車線変更禁止かな?」
そりゃ「二車線」の場合でんがなー!!
心中は大阪人のツッコミ状態。ハリセンを心から渇望した一瞬である。
藤田氏は当然、水を得た魚状態。
「それは二車線のときね。」
とあっさり切り捨て。
うおのれー。
きっと「そこの、あなた」だって、緊張してたんだい。
今日はちょっと、体調が悪かっただけで、いつもなら答えられるんだい。
と、その場の全員が思ったことであろう。
「そこの、あなた」もさぞ不本意であっただろう。
まあ、元気を出してほしい。我々は正々堂々と戦った君のその勇姿を決して忘れないよ。
藤田氏は、さっさと次の獲物を探す。
「じゃあ、そこの、はい、そうそう、あなた。はい、大丈夫ですか一回目ですよ。私はそういう人しか指さないの。
はい、答えて。」
寝てました。その人。
うつらうつらと。
知ってたんだけどなぁ。
やっぱりばれてたよ、あなた。
さらに「そういう人しか指さない」と言ったということは、先ほどの「そこの、あなた」は寝ていたのであろうか。
あああ、ますます悲しい「そこの、あなた」。
いやいや、そんな筈はない。
これは藤田氏が己の予言を的中させようとして仕組んだでっち上げであろう。
そうだといったらそうなのである。
ってあれ?うつってしまった。
今度こそ頑張ってくれよ。サラリーマンのあんちゃん。
はっと目を覚まし、己の状況をようやく把握したそのあんちゃんは、すかさず回答した。
「追い越し禁止」
自身満々である。
そうそう。よくやった、あんちゃん。
えらいよ、我々の勝利だ。祝杯だ。
だがしかし、藤田氏は納得しない。
「半分当たり」またもや、ばっさり。
えー。半分なの?
なんで。
どうして。
藤田氏は続ける。
「黄色い車線のみである場合には、黄色い中央線を越えての追い越しは禁止であるが、黄色い車線を『越えないでの追い越し』は問題ないのである。また、そのような場合でも追い越し禁止の看板が存在する場合には車線を越えない追い越しも禁止となるのである。
一同、理解できたであろうか。」
見事である。
我々の惨敗である。
ここは素直に敗北を認めようではないか。
負けを認めることは決して恥ではない。ここはひとまず引こうではないか。皆の衆。
って誰に言ってるんだろうね、私も。
恐るべき、藤田氏。伊達に講習歴30年(推測)のベテランではない。
だが、このまま藤田氏の予言通りになってしまうのであろうか。
いいや、ここはなんとしても踏みとどまらなくてはならぬ。
よしここは一致団結だ。
さあ、スクラムを組み、声高々に気合を入れようではないか。
「言い忘れたが、携帯電話も、この教室内では禁止である。受信も送信も不可である。かのような文明の利器も時と場合をわきまえて使用せねばならぬ。と言っても使用する者が私の過去の経験からして、一人や二人はいるのである。ここまで言ってもまだ電源を切らない者が恐らくいるだろう。
いるといったらいるのである。」
ほら、始まったよ。
今度こそ、皆の衆よ、携帯の電源を切ろうではないか。
なあに、ほんの一時の通信途絶ではないか。長い人生の中で微塵程の時間である。
案の定、何人かは携帯の電源を切り始める。
私のように入室時に掲示板を見て、そそくさと電源を切っていた者は、再度電源が切れていることを確認する。
いい感じである。これなら、藤田氏の予言は当たるまい。
こうして、しばらく講義は進む。藤田氏の講義にも熱が入りはじめる。
その時である。私の斜め右前方の若い兄ちゃんの左手が、机上に置かれた携帯に伸びる。
ああ、そんな。どうしてなの。
メールである。メールを始めたのである。
恐らく、齢60を数える(推測)藤田氏には、よもや携帯でメールをやっているなどどは見当もつかないだろうから、この兄ちゃんは注意はされないだろう。
だが、そんなことは問題ではないのだ。
またもや、藤田氏の予言は的中してしまったのである。
うおのれー。口惜しいぞ。
だが、これは大丈夫であろうという予言が講義も山場を迎えたときに、藤田氏の口から語られる。
「本講義が終了した後に、修了印を受講票に捺印する。必ず教室の前面の扉口より退室し、受験票の捺印部を私に向けて差し出すようにしなくてはならぬ。そのとき作業効率を鑑み、受講票は必ず右手で端部を持ち、決して離してはならぬ。といっても離すものがいる。あまつさえ、逆さに持つ者や、果ては裏返しで差し出す者も私の過去の経験からは一人や二人はこの中にいる。
いるといったらいるのである。」
といつもの調子である。
でも、それは大丈夫でしょ。
いくらなんでもさ。
ねー、子供じゃないんだから、藤田さんよ、今回ばかりはその予言は当たらないと思うよ。
いや、当たらないことを信じたい。
信じさせてくれい。
とうとう、講義も終了時間となり、藤田氏もまずまず満足したようであった。
まあ、それだけ散々言えばストレスもないだろうけどね。
ちょっと藤田氏の境遇がうらやましい。
「では、これにて講義は終了である。先ほど言ったように修了印を捺印するので並ぶように」と藤田氏は言い残し、教室の外で印を持ち待機する。
各々は、ガタガタと机を揺らし、手荷物をまとめ、受講票を「右手」に持ちぞろぞろと教室内を歩き始める。
順調である。
みんなきちんと、「右手に受講票を持ち」順調に捺印され、免許の交付される部屋へと歩き始めている。
私も藤田氏の提示した仕様通りに受講票を持ち捺印をしてもらった。
さらば、藤田氏よ。なかなか楽しい時間であったぞ。と内心思いながら移動を開始した時である。
教室の反対側から人影が。
なんと人ごみを避け、反対側から列に割り込むおばちゃんが、私の眼に飛び込んできたのであった。
もう、降参です。
藤田さん、やっぱりあたなは預言者かもしれないや。
つい先日、免許の更新に行って思わず懐かしくなってしまったので、思い切って公開することにしました。
ちなみに1999年、今からちょうど6年前くらいに書いた文章です。
「二回寝ると退場である。」
と、東京都運転免許センター更新時講習の講師である藤田まこと氏(仮名)は明言するのであった。
さらに藤田氏は続ける。
「寝るなといっても、この中から一人か二人は必ず寝る。私の過去の経験からしても絶対そうなるのである。
なるといったらなるのである。」
と言い切る。
さらに、藤田氏は講習中でも常に現代社会への不満を披瀝する。
まず、現代社会人のモラル低下を嘆き、次に国会審議の話へ移行し、携帯電話の功罪、さらにシンガポール出身である過去の受講者へと話題が進む。
ああ、藤田氏。
非常に興味深い人物である。
講習内容も、藤田氏の個性が全面に押し出された特色ある講義であり、過激を極める内容であった。
まず私を含む受講者全員に対し
「現在、隣室では卒業検定を終了した者達が本試験を受験中である。」
と口火を切り、
「ここいいる全員は絶対に合格しないであろう。
しないといったらしないのである。」
と一刀両断。
「両側通行の車線の中央が黄色の場合、これはどういう意味なのか回答せよ。はい、そこの一番後ろのあなた。
そうそう、あなた。」
と突然、講義開始。
だが、ここはなんとしても、藤田氏に一矢報いる為にも皆の衆よ、我々の優秀さをアピールしようではないか。
我々だって、過去は藤田氏曰く「今なら絶対合格しない本試験」とやらに合格し、晴れて運転免許所持者となった集団であり、豊富な運転経験を有し、
ちょっとの違反
で国庫に反則金を納め、今日この鮫洲運転免許センターに集った者達である。
背後なので見えないが、「そこの、あなた」頑張ってくれ。
恐らくその場にいたすべての人の期待を一身に背負った「そこの、あなた」はきっと、やり遂げてくれるであろう。きっと我々の期待に応えてくれるはずである。
はずであった。
はずだったのにぃ。
「そこの、あなた」は藤田氏の予言を具現化してしまうのである。
ぼそっと、「車線変更禁止かな?」
そりゃ「二車線」の場合でんがなー!!
心中は大阪人のツッコミ状態。ハリセンを心から渇望した一瞬である。
藤田氏は当然、水を得た魚状態。
「それは二車線のときね。」
とあっさり切り捨て。
うおのれー。
きっと「そこの、あなた」だって、緊張してたんだい。
今日はちょっと、体調が悪かっただけで、いつもなら答えられるんだい。
と、その場の全員が思ったことであろう。
「そこの、あなた」もさぞ不本意であっただろう。
まあ、元気を出してほしい。我々は正々堂々と戦った君のその勇姿を決して忘れないよ。
藤田氏は、さっさと次の獲物を探す。
「じゃあ、そこの、はい、そうそう、あなた。はい、大丈夫ですか一回目ですよ。私はそういう人しか指さないの。
はい、答えて。」
寝てました。その人。
うつらうつらと。
知ってたんだけどなぁ。
やっぱりばれてたよ、あなた。
さらに「そういう人しか指さない」と言ったということは、先ほどの「そこの、あなた」は寝ていたのであろうか。
あああ、ますます悲しい「そこの、あなた」。
いやいや、そんな筈はない。
これは藤田氏が己の予言を的中させようとして仕組んだでっち上げであろう。
そうだといったらそうなのである。
ってあれ?うつってしまった。
今度こそ頑張ってくれよ。サラリーマンのあんちゃん。
はっと目を覚まし、己の状況をようやく把握したそのあんちゃんは、すかさず回答した。
「追い越し禁止」
自身満々である。
そうそう。よくやった、あんちゃん。
えらいよ、我々の勝利だ。祝杯だ。
だがしかし、藤田氏は納得しない。
「半分当たり」またもや、ばっさり。
えー。半分なの?
なんで。
どうして。
藤田氏は続ける。
「黄色い車線のみである場合には、黄色い中央線を越えての追い越しは禁止であるが、黄色い車線を『越えないでの追い越し』は問題ないのである。また、そのような場合でも追い越し禁止の看板が存在する場合には車線を越えない追い越しも禁止となるのである。
一同、理解できたであろうか。」
見事である。
我々の惨敗である。
ここは素直に敗北を認めようではないか。
負けを認めることは決して恥ではない。ここはひとまず引こうではないか。皆の衆。
って誰に言ってるんだろうね、私も。
恐るべき、藤田氏。伊達に講習歴30年(推測)のベテランではない。
だが、このまま藤田氏の予言通りになってしまうのであろうか。
いいや、ここはなんとしても踏みとどまらなくてはならぬ。
よしここは一致団結だ。
さあ、スクラムを組み、声高々に気合を入れようではないか。
「言い忘れたが、携帯電話も、この教室内では禁止である。受信も送信も不可である。かのような文明の利器も時と場合をわきまえて使用せねばならぬ。と言っても使用する者が私の過去の経験からして、一人や二人はいるのである。ここまで言ってもまだ電源を切らない者が恐らくいるだろう。
いるといったらいるのである。」
ほら、始まったよ。
今度こそ、皆の衆よ、携帯の電源を切ろうではないか。
なあに、ほんの一時の通信途絶ではないか。長い人生の中で微塵程の時間である。
案の定、何人かは携帯の電源を切り始める。
私のように入室時に掲示板を見て、そそくさと電源を切っていた者は、再度電源が切れていることを確認する。
いい感じである。これなら、藤田氏の予言は当たるまい。
こうして、しばらく講義は進む。藤田氏の講義にも熱が入りはじめる。
その時である。私の斜め右前方の若い兄ちゃんの左手が、机上に置かれた携帯に伸びる。
ああ、そんな。どうしてなの。
メールである。メールを始めたのである。
恐らく、齢60を数える(推測)藤田氏には、よもや携帯でメールをやっているなどどは見当もつかないだろうから、この兄ちゃんは注意はされないだろう。
だが、そんなことは問題ではないのだ。
またもや、藤田氏の予言は的中してしまったのである。
うおのれー。口惜しいぞ。
だが、これは大丈夫であろうという予言が講義も山場を迎えたときに、藤田氏の口から語られる。
「本講義が終了した後に、修了印を受講票に捺印する。必ず教室の前面の扉口より退室し、受験票の捺印部を私に向けて差し出すようにしなくてはならぬ。そのとき作業効率を鑑み、受講票は必ず右手で端部を持ち、決して離してはならぬ。といっても離すものがいる。あまつさえ、逆さに持つ者や、果ては裏返しで差し出す者も私の過去の経験からは一人や二人はこの中にいる。
いるといったらいるのである。」
といつもの調子である。
でも、それは大丈夫でしょ。
いくらなんでもさ。
ねー、子供じゃないんだから、藤田さんよ、今回ばかりはその予言は当たらないと思うよ。
いや、当たらないことを信じたい。
信じさせてくれい。
とうとう、講義も終了時間となり、藤田氏もまずまず満足したようであった。
まあ、それだけ散々言えばストレスもないだろうけどね。
ちょっと藤田氏の境遇がうらやましい。
「では、これにて講義は終了である。先ほど言ったように修了印を捺印するので並ぶように」と藤田氏は言い残し、教室の外で印を持ち待機する。
各々は、ガタガタと机を揺らし、手荷物をまとめ、受講票を「右手」に持ちぞろぞろと教室内を歩き始める。
順調である。
みんなきちんと、「右手に受講票を持ち」順調に捺印され、免許の交付される部屋へと歩き始めている。
私も藤田氏の提示した仕様通りに受講票を持ち捺印をしてもらった。
さらば、藤田氏よ。なかなか楽しい時間であったぞ。と内心思いながら移動を開始した時である。
教室の反対側から人影が。
なんと人ごみを避け、反対側から列に割り込むおばちゃんが、私の眼に飛び込んできたのであった。
もう、降参です。
藤田さん、やっぱりあたなは預言者かもしれないや。
posted at 2005/05/23 0:06:44
lastupdate at 2005/05/23 0:23:24
【修正】
Comments
Post your Comment
Menu
Category
Pageview Ranking
Search
Link