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2008/12/05
技術者のマネージャに告ぐ
マネージャの素養は技術者として優秀か?
という基準には当てはまらないものが多いです。

技術職だと「エンジニアとして優れているから」という理由で兎角、昇進してマネージャになってしまいますけど。

技術者として優秀な人ほど、実は人間の扱い方が下手だったり、そもそも興味がなかったり、最悪なケースではその資質を疑われるケースも散見されます。

技術者とは自然科学に向き合っていく者であり、マネージャは社会科学に向き合っていく者なんです。
要求されるモノがまるで違う。
技術者がマネージャになるとき、それは学問として、思考として自身の振る舞いとして再定義が必要な時となります。

相手の機微にどれだけ反応できるか。
難しい課題ですが、難しいからこそ、過去から「人間を学ぶ学問」が盛んになり、組織学が生まれてきた訳ですが、そこに「銀の弾丸」は存在しません。
学問をベースとした(しなくても全く問題ない)自分自身のアプローチを確立することが大切なのだと思います。

組織の長として最も軽視してはならないものが「コミュニケーション」です。
「コミュニケーションの密度と組織の円滑度に相関関係がない」と書いてある文献は一つも見たことがありません。
つまり必須条件に近い。

「相手を知る、理解する、共感する、信頼する」という心の働きはコミュニケーションなしには成り立たないと言い切れるほどです。
ではどのようにコミュニケーションを図ればよいのか?
それは人それぞれでしょう。

一つ言えるのは「待ちの姿勢では成立しない」ということでしょうか。
相手からコミュニケーションを図ってくるのを待つ。
なんてスタンスはマネージャとしてはふさわしくありません。

よく「忙しいから」という言葉で、この現実から逃げるマネージャも多いです。
つまり「忙しくてできない」という心理の裏には「コミュニケーションは業務遂行の中でプライオリティが低い」という意識が働いているのでしょう。
そんな意識で、どうして相手の心理をつかむことができるのでしょうか。

HBRにかつて掲載された「ピグマリオンマネジメント」にはこのような一文が載っていました。

自分の期待は言葉にしないと相手に伝わらない。
しかし、自分の不信は言葉にしなくても伝わる。


どんなに信頼していようと、実はそれは「言わなければ相手に伝わらない」ということです。
「信頼しているよ、がんばれ」と言わなくてはならないのです。
本当にそう思っているのであれば。

しかし、不信は「空気」「雰囲気」として相手に伝わる。
言語を伴わなくても相手に知らしめることができるのです。

そうすると話は簡単です。
信頼は言葉にしなくては獲得できない。
不信は言葉にしなくても獲得できる。
という話になります。

コミュニケーションを図らないマネージャの存在意義はなんでしょうか?
部下に期待も語れない、不信感だけを与える存在になってしまう危険性があるのです。

かつてこのような言葉を聞いたことがあります。

信頼は築くのに時間がかかるが、壊すのは一瞬。

日々のコミュニケーションがいかに大切か。
その入口を閉ざすことがいかにマネージャの資質に合わないのか。
を自覚しなければなりません。
その自覚ができなければ「優秀な技術者」をマネージャに据えるのはやめた方が組織としてはハッピーってことになります。
posted at 2008/12/06 12:36:39
lastupdate at 2008/12/06 12:56:13
修正
 
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